vacant-novel

【1】始まりの色

【1】始まりの色  雪の白。炎の赤。煙の黒。空の青。家と呼ぶには粗末な小屋が燃えている。現実味のない光景をイオラは眺めていた。「出ていけ」物が燃え崩れる音の中でも、しわがれた声が耳に届く。数年ぶりの村長の声。別段、何の感情も湧かない。自分た…